グリーンコンパス合同会社

これからの気候・エネルギー政策に向けた対策

これからの気候・エネルギー政策に向けた対策

気候変動の危機と対策:未来への挑戦

近年、地球温暖化が急速に進行し、私たちの生活や環境に深刻な影響を及ぼしています。産業革命前と比べて地球の平均気温はすでに1.1℃上昇しており、このままでは2100年までに平均気温が2.5-2.9℃上昇する可能性があります。パリ協定では、気温上昇を1.5℃以内に抑えることを目指していますが、その達成には多くの課題が存在します。

気候変動は、気候の激甚化、健康の悪化、生産の減少、経済的影響、格差の拡大など、多岐にわたる問題を引き起こします。1.5℃目標を達成するためには、2030年までに世界全体で温室効果ガスを半減し、2050年にはネットゼロを達成する必要があります。この目標を達成するためには、国際的な合意と対策の強化が不可欠です。COP28では、1.5℃目標達成に向けた対策強化、化石燃料からの脱却、再生可能エネルギーの拡大が議論されています。G7でも、2035年までの電力システムの脱炭素化、石炭火力の段階的廃止が合意されています。

日本の温室効果ガス排出量と削減目標

日本の2022年度の温室効果ガス排出量は11億3500万トンで、2013年度比で19.3%減少、前年度比で2.5%減少しています。吸収量を差し引くと10億8500万トンで、2030年目標の46%削減に向けては、まだまだ課題が残っています。現状の政策では、2030年目標の達成は難しいとされています。

先進国としての責任を果たすため、2030年目標を前倒しで達成し、2050年ネットゼロを目指す必要があります。高排出部門のインフラの転換や事業の移行、産業構造の転換を促進することが求められます。

温室効果ガス排出の内訳

日本の温室効果ガス排出の主要な原因は火力発電、運輸、製鉄、セメント、化学です。2022年度の排出量の約38%が発電部門からのもので、その中でも石炭火力発電が最も多くの排出を占めています。運輸部門は16%を占め、その約8割は車利用によるものです。鉄鋼業は全体の10%を占め、続いて窯業土石(セメント)、化学工業が続きます。

火力発電やエネルギー多消費産業の脱化石燃料化が重要な課題となっています。これらの分野での取り組みが、気候変動対策の鍵となります。

電源構成と未来への挑戦

2022年度の日本の電源構成は、再生可能エネルギー22%、石炭火力31%、天然ガス火力34%、石油火力8%、原子力6%です。現状では7割以上を火力発電に依存しています。再生可能エネルギーの内訳は、水力8%、太陽光9%、バイオマス4%、風力1%です。

2030年度の政府目標は、再エネ36-38%、石炭火力19%、天然ガス火力20%、原子力20-22%です。高い火力依存や不透明な原発の見通し、ゆるやかな再エネ導入により、目標達成に向けた課題が山積しています。2035年までの電力システムの脱炭素化を目指し、火力発電からの脱却と再エネ導入の拡大を急速に進める必要があります。

電力需要の未来予測

福島第一原子力発電所の事故以降、電力需要は減少傾向にありました。しかし、データセンターや半導体工場の新増設により、2033年には電力需要が増加する見込みです。再エネ電源を求める大企業の増加も見られます。

2050年に向けては、生成AIやデータセンター、電化による需要増が予測されますが、デジタル化によるエネルギー効率向上も期待されています。供給力強化のためのLNG火力新設や石炭火力の継続利用が、脱炭素化の遅れを引き起こす可能性もあります。

化石燃料輸入のコスト削減

日本は石油、石炭、天然ガスをほぼ100%輸入に依存しています。2022年の化石燃料輸入額は34兆円、2023年は25兆円となっています。化石燃料依存の現状では、国際エネルギー価格の変動の影響を受けやすく、脱化石燃料により輸入コストを大幅に削減することが求められます。

持続可能なエネルギーの未来

再生可能エネルギー、蓄電池、デマンドレスポンスを軸にした電源ポートフォリオを構築することが重要です。再エネの不安定性を補うため、蓄電池やデマンドレスポンスの普及と技術開発が必要です。地域ごとの特性を活かしたエネルギーミックスの構築が求められます。

気候変動対策は、持続可能な経済発展と社会の実現に不可欠です。技術革新と政策・制度の整備、社会全体での意識改革と行動変容が求められます。脱炭素化を通じて、新たな産業の創出や雇用の拡大を図り、未来への挑戦を続けることが重要です。