グリーンコンパス合同会社

空調設備の基礎知識1

空調設備の基礎知識1

1. 空調設備とは

空調設備は、建物内の温熱環境・空気環境を調節するための設備です。

人間の活動が主となるオフィスや、品質管理が求められる生産工場、クリーンルームなど、その制御対象は多岐にわたります。
省エネルギー化や執務環境向上への要求などが高まる中、近年ではさまざまな種類の
設備が登場し、システムも複雑になっています。本連載では、空調設備の基礎知識について、代表的な方式や構成機器、近年の動向や維持管理などを解説していきます。
第 1 回では、空調設備とは何か、その種類や計画・設計手順、冷暖房の考え方などを解説します。
空調設備の基礎知識 1:空調設備とは 2空調設備(空気調和設備)とは、建物空間の空気の温度・湿度・気流速度・清浄度(二酸化炭素・粉じん・臭気など)・圧力を、その利用目的に
応じて調節する設備です。その対象と目的によって、保健用空調設備(以下、保健空調設備)と産業用空調設備(以下、産業空調設備)に大別されます。

2. 保健空調設備

保健空調とは、オフィスで仕事をしている時に行う冷房・暖房や換気など、
その空間に在室する人の快適性や健康の維持を目的に行う空調です。
一般に空調といえば、こちらの保健空調を思い浮かべると思います。
一定の条件を満たす施設(百貨店、図書館、美術館、博物館、事務所、旅館、
学校などに使用される建築物で、主に延床面積が 3,000m 2 以上のもの。

学校では 8,000m 2 以上)では、建築物における衛生的環境の確保に関する法律
(建築物衛生法)により、保健空調の実施時に表 1 に示す基準が定められており、
この基準を満たすような運用が公衆衛生向上のために求められています。
ただし、換気設備のみが設置されている場合は、温度と相対湿度は適用外となります。

在室する人たちが健康で快適に過ごせるための室内環境を調整することが、
保健空調の役割です。近年では、オフィスなどで知的生産性(プロダクティビティ)
向上のための快適な空間が求められている一方で、この空調設備に関連するエネルギーが
オフィスビルの一次エネルギー消費量の約半分となっており、
省エネルギーを実現しながら室内の快適性を維持していくことが大きな課題となっています。